« 2010年09月 | メイン | 2010年11月 »

2010年10月 アーカイブ

長寿村の老人

エクアドルのビルカバンバ、パキスタンのフンザ、ロシアのコーカサスは世界3大長寿村として知られています。


このような長寿村の老人はかなり高齢になっても現役で働いていますから、老人の眠りについても実験室では得られない情報が得られるかも知れません。


幸いなことに、星薬科大学の大谷理事長は、エクアドル共和国のビルカバンバ村に病院を寄贈するなど村民の健康のために大変貢献されておられます。


大谷理事長の事業のお伝.いで、日本人博士らが現地に行き住民の睡眠調査を行っています。


ビルカバンバ村は、南緯4度にあり、海抜1500メートル(大気圧0.8気圧)で、年間平均気温が摂氏18~24度、湿度60%。


夏の上高地あたりを思い出してもらえばよいでしょうか。


このような気象条件が長寿に有利に作用しているのでしょう。


老人の睡眠ポリグラフ記録は最近盛んに行われるようになりましたが、すべて夜間睡眠だけであり、24時間のポリグラフ記録はまだ行われていません。


老人の眠りは幼児のように昼寝をする傾向がありますから、老人の眠りの実態を正確に把握するには24時間の眠りの分布を見る必要があるのです。

睡眠と長寿の関係とは

従来の睡眠ポリグラフ記録は殆んどが病院とか睡眠実験室で行われたもので、自宅での記録ではありません。


日本人博士らは長寿村のコミュニティのなかで、できるだけ普段の生活をしているときの24時間のポリグラフ記録をすることにしました。


このためには、ポータブルの長時間記録用小型カセット・レコーダーを使います。


この装置を腰につけて、24時間の脳波、羽毛 ふとんでの就寝、心電図・筋電図・眼球運動、呼吸運動などを日常生活の妨げとならないで記録することができるのです。


教会の洗礼者名簿などで生年月日が確認できた80歳以上の老人20名について調べました。


24時間の全睡眠時間の平均は男性で7・4時間、女性で7・8時間でした。


ここでもアメリカ癌協会の調査結果とよく一致します。


ビルカバンバ村の老人の睡眠時無呼吸と夜間ミオクローヌスはどうでしょうか。


80歳以上の老人8名(男性4名、女性4名)について調べましたが、そのうち1名だけが睡眠時無呼吸を示し(3.5%)、夜間ミオクローヌスは誰れにもみられなかったそうです。


アメリカの調査では・58歳から79歳までの24名のうち15名(62・5%)に睡眠時無呼吸と夜間ミオクローヌスが認められるというから、ビルカバンバ村の老入はその出現率が著しく低いことになります。

長寿村の実験では

ビルカバンバ村の無呼吸、ミオクローヌスの出現率の低い原因は何でしょうか。


第一に、この地には薬物乱用がないことです。


ビルカバンバ村には、1980年に病床数40の近代的病院が開設されたそうですが、医療の近代化はまだまだです。


このことが無呼吸を少なくしているのでしょう。


第ニに、ビルカバンバ村の気象条件が一定していることです。


年間を通して摂氏18~24度の気温、60%の湿度は、人体に対して過大なストレスとなりません。


さらに、海抜1500メートルの高地では大気圧が0・8気圧であり、呼吸循環系に適度の刺激となってその機能を高めていることが考えられます。


第三に、1日に6時間に亘る肉体労働や、丘陵地を歩くことによる身体運動が呼吸循環機能を高めていることも重要でしょう。


ビルカバンバ村の老人に、睡眠時無呼吸と夜間ミオクローヌスが極めて少ないことが長寿の秘けつになっているのではないかと思われます。


羽毛 布団などはあまり関係ないのかもしれません。

人工の睡眠

痛みと不眠から逃れようとするところから医学が始まるとされています。


人生はある程度痛みであり悲しみです。


それから逃れる路は慎重に選ばなくてはなりません。


なぜならそれは死への路でもあるからです。


痛みや不眠を和らげる薬は死をもたらす薬でもあることは、オー・ヘンリーの短編『睡魔との戦い』を読むとよくわかるでしょう。


現在使われている羽毛 布団 販売のような眠り薬は、脳のどこでも一様に作用して脳の活動を低下させる、専門用語でいえば、非特異的な中枢神経系の抑制剤です。


こういう薬は、覚醒、痛み、悲しみのすべてを弱めてしまうのです。


ここでは、眠り薬は眠りに似た状態をつくりますが、本当の眠りではないことを述べてみましょう。


勿論眠り薬はある揚合には極めて有用なものであり、医学では不可欠なものです。


しかし、あくまでも諸刃の剣であることを忘れてはならないのです。


眠らせる能力は常に重要です。


時として、神聖なものとみなされていました。


ギリシャの神々のなかで余りカはありませんが、常に尊敬されていた神にヒプノス(眠りの神)がいます。


陸や海の上を飛び、ヒトにも神にも等しく眠りをもたらしていました。


通常、ケシの茎と角を持.た姿に描かれています。


その角から眠りの汁を人の上にたらすのです。


実際に、ケシの汁はおそらく最高の眠り薬であったと思われます。


そして、ケシ(特にその誘導体のモルフィンとへロイン)は、殆ど神として尊ばれてきましたし、今なお尊ばれています。

About

2010年10月にブログ「睡眠日記」に投稿されたすべてのエントリです。新しい順に並んでいます。

前のアーカイブは2010年09月です。

次のアーカイブは2010年11月です。

他にも多くのエントリがあります。メインページアーカイブページも見てください。

管理人のお気に入り

リンク